とある講師のホンネ

フリーの講師。国・数・英・理を指導中。東大卒。現在は家庭教師中心ですが、大人の文章教室なども開いています。

桜蔭の算数は算数が得意なだけじゃ解けない

たぶんこれを言ったら総叩きに遭いそうですが。
好みの問題なので、悪しからずご了承ください。


桜蔭の算数って、別に難しくない(数学的には)と思っています。「設定」さえ読み解ければ、あとは桜蔭受けようとしている子なら屁でもない基本事項で解けてしまいます。
問題は、その「設定」が過剰に「読みづらい」ことです。

なんでもっとわかりやすく書いてくれないかな(苦笑)。

 

「数学的に」難しい問題ほど、シンプル。
言わずもがなですが、証明に330年かかったフェルマーの最終定理なんてたった1行ですからね(笑)。

 

私は、算数であれ、数学であれ、
「解いていて楽しい」
「解いている最中に新しい発見がある」
そういう入試問題を、出してほしいと切に願っています。

たとえば、算数オリンピックのような。
東大入試問題のような。

短いのに難しい。
解いていて楽しい。
解いている間に発見がある。

それが良問。

 

でも、そういう問題作るのって大変なんですよね。
最近の難関校の算数が
数学的難しさ<<<<<<設定を読み解く難しさ
になっているのはそういう「大人の事情」がある気がしてなりません。

 

まったく個人的な好みですが、桜蔭の算数って解いてて私は面白くないです…。


・設定が異常に読みにくい
・答えが変な分数になるようになっている(忍耐力を測っている?)
・でも、数学的には単純
・つまり、設定を読み解けて、「作業」が苦にならなければ答えが出る

 

からです。
正解しても達成感がない。

 

開成にも、ややこの傾向はあるように感じます。
灘の算数は本当に毎年面白いですよね!!!


良問・悪問と学校の偏差値はあまり関係がない。
たとえば、共立の2018年の大問5などは、
不定方程式を「解いている最中に受験生がハッと気づけるように」作っている良問と感じました。豊島岡の2020年の第一回大問6も、ルートを使わずに相似だけで解くのに「脳に汗をかく」良問です。そうした良問に出会うと嬉しくなります。


中学の先生に、お願いしたいです。
たしかに、どんな「新作問題」を作ってもすぐ進学塾に研究され、「何を出したらいいのか」と思われることもあるでしょう。


それでも私は、
算数の力を測りたいなら、「算数として」難しくしていただきたい。
設定を読みにくくしたり、超長文にしたり、答えの数字をわざと「汚く」したりして
それで受験生を振り分けないでほしい。
数学的にエレガントで解いていて面白い問題を作ってもらいたい。
そうでなければ、「悪文が読める子」が受かる試験になってしまいます。

もっとも、「うちは悪文が読める子が欲しいんだ!」と言われればそれまでですが(笑)。でもそれは、国語のテストでやってほしいなあ。

 

タイトルと話が逸れましたね。
私は桜蔭の算数の問題では「数学力」は測れないんじゃないかと思いますが、
それでも桜蔭に受かりたければ、まず国語。
あの、暗号みたいな回りくどい設定を読めなければ話になりません。
もとより、桜蔭の国語は年によってはやりすぎなほど難解ですからね(苦笑)。

 

桜蔭を第一志望にするかどうかは、算数力より国語力で考えたほうがよいでしょう。
算数力>>>国語力
ならば、共学や、豊島岡のように理系に相当な比重を置いている女子中のほうが
お子さんの実力を正しく見てくれるんじゃないでしょうか。

 

あと、そもそも、多くの女子校の算数の問題が、女子の数学力を馬鹿にしている気がする。「算数としては易しくて、国語的に難しくしている」問題が、女子校には多い。

 

そういう意味で、志望校は偏差値ではなく過去問で選ぶべき。

この話は次回。