とある講師のホンネ

フリーの講師。国・数・英・理を指導中。東大卒。現在は家庭教師中心ですが、大人の文章教室なども開いています。

語彙力が低いのは家庭の責任です

私はもともとは算数&数学および英語をメインに教えておりましたが、近年、国語の需要がうなぎのぼりです。

それはなぜなのか。

考え続けて、

「国語は塾では伸びない」

のが原因なのかな、と思い至りました。

 

1)読解力はマンツーマンでこそ伸びる

 

これは、塾が悪いということではありません。

読解力のない生徒にとって「1→多」の授業は意味がない

ということではないかと仮説を立てたところです。

 

「1→多」の授業においては、国語の授業は

まるで英文和訳

の授業にならざるを得ません。

 

つまり「ここに書いてあるよね、だから答えは〇〇なんだよ」。

 

それを聞いてわかるのは「その本文にはどういうことが書いてあるか」だけ。

「自分でその本文を読む力」は、それではいつまで経ってもつかない。

 

だからこそ、読解力を鍛えるには

「わかるまで何度でも読ませる」

ことが肝要。

 

でも、塾ではその時間はありません。

国語&現代文こそ、マンツーマンでしか伸ばせないチカラだと考えています。

 

2)語彙力は家庭の責任

 

「読解力がない」と家庭教師を頼まれる場合、原因は大きくわけて2つです。

・語彙が圧倒的に足りない

・本人の「認知」にズレがある

 

後者は、「なんでそう受け取っちゃうかなあ」というヤツです。

世の中の現象に対して「独自解釈」をしてしまうパターンです。

はっきり言うと、発達障害です。

この修正にはかなり時間と労力がかかりますが、親&本人とコーチ双方に根気があれば克服可能です。

 

ここで問題にしたいのは、前者、すなわち語彙力です。

 

ずばり申し上げますと、語彙が少ないのは、自閉症でない限り、ご家庭の責任です。

幼児が言葉を覚えていくのは

・オトナの言葉を見聞きする

・使ってみたくなる

・使ってみて、間違っていた場合、修正が入る

です。

これの繰り返しで、語彙を増やしていきます。

 

つまり、何よりも必要なのは「対話」です。

 

子供の語彙が「やばい」くらいに低い場合、原因は

・子供自身が自閉的傾向=他人の「言葉」に興味がない

・親子の対話がない

のどちらかです。

 

スマホタブレットの動画ではダメなのです。

それらは、「大事なところは字幕」です。

全部理解できなくても楽しめてしまいます。

 

読書をしていれば安心、もウソです。

子供は「飛ばし読み」しますから。

 

「飛ばし読み」「わかったふり」が通用しないのは「対話」だけなのです。

 

幼児や小学生の、たどたどしいお喋りに付き合うのが大変なのは、わかります。

でも、だからといって、その「めんどくさい部分」をタブレット任せにした「ツケ」はいつか必ず10倍返しでやってきます。

 

子供の語彙を増やしたければ、「対話」をぜひ大事にしてください。