このシリーズの過去記事はこちらです。
過去2回と多少かぶりますが、これまで見てきた「つぶす親」の共通点を整理・加筆修正しつつ、改善策を「伸ばす親」の事例から読み取ってみたいと思います。
つぶす親の共通点チェックリスト風目次
- 自分を棚に上げ、目標が高すぎる
- ブランド志向が強く、マウンティング大好き
- 常に「いっぱいいっぱい」になっている
- 不満が多すぎる
- しつけが後回し
- 子供に家事をさせていない
- 子供に 「水!」と言われるとそそくさと水を持って行ってしまう
- 家が乱雑すぎる、または整いすぎている
- スマホが手放せない
- ダメな声掛けばかりしている
- 本を読まない
- 常に我流
- 模試の過去問を入手して解かせている
自分を棚に上げ、目標が高すぎる
現在の子供の偏差値が40近辺かそれ以下なのに目標が御三家&準御三家で、子供にそれを強要する親。経験上、ご自身はそれらと大きく乖離した学校卒なことが多いです。「とんびがタカを生む」のことわざ通りのケースもないではないですが、学力は遺伝&環境遺伝です。高い目標を持つこと自体は悪いことではありません。「つぶす親」は一気にそこを目指すことが子供を潰しています。
最近の子供はお行儀がいいので「父ちゃん/母ちゃんも頭悪いくせに!」とは言わないと思いますが、たぶん内心ではそう思っているんじゃないかな。
一方、伸ばす親は「実現可能に思える目標設定」をしています。また、自分たちもこれくらいだったしな、という視点を忘れません。
ブランド志向が強く、マウンティング大好き
我が子はもちろん、夫/妻を「トロフィー」だと考えているタイプ。自分に自信がないからそうなっちゃうのかなあ。造語ですが「エンブレム受験」を目指すタイプですね。ママ友の持ち物や家の価格が気になるタイプ。我が子が〇〇に入ったら見返せる、と考えていませんか?それは危険信号です。
常に「いっぱいいっぱい」になっている
どん欲なのは悪いことではないんですが、「自分の積載量」を超えてありったけ積み込み、その結果ヒステリーを起こしているお母さん、結構多いです。めいっぱいローンを組んででも高い家を買い、子供の世話もしきれていないのにさらに犬を飼い、ありとあらゆる「幸せそうなこと」すべてに手を出すタイプ。このタイプのお母さんって、犬が吠えるとヒステリー起こすんですよ。いや、犬が吠えるのは本能だろう。無駄吠えするなら犬にストレス与えてるんだよ。以前担当した家庭で、たくさん見ました。しょっちゅうワンコに怒鳴っているお母さんや、猿ぐつわかませて鳴けないようにしているお母さん、さらには家はドでかいのにワンコは身動きできないキャリーボックスに閉じ込めっぱなしのお母さん。完全に間違っていますね。怒りすら覚えます。自分の力量を見極めずに欲しいものは欲しいと手に入れた結果もてあましているわけです。原因は「自分の度量をわきまえず貪欲にもとめたこと」でしかないのに、そのことは顧みず他人(子供・パートナー・犬erc)を責め立てている。恥ずかしいと思いませんか?
子供なんて、予想外のことばかりしでかします。それもまた「学び」の一部です。
予想外のことが起きたら回らないほどめいっぱい取り込んでいませんか?
一方、「伸ばす親」は「腹八分」です。「ハンドルの遊び」があるんです。
今一度、自分自身を振り返って「めいっぱい」はそぎ落としてみませんか?
不満が多すぎる
つぶす親は、とにかく不満が多いです。夫/妻が思い通りに動いてくれない、我が子が思い通りにならない、小学校の先生がクソ、etc。働いている場合は、会社への不満もものすごい。これは裏返せば「自分は完璧」と誤解しているからですね。子供もパートナーも、はたまた同僚も、あなたに言いたい不満は山ほどあると思いますよ。言うと100倍で返ってくるから言わないだけで。
一方、伸ばす親は、日常に小さな幸せを見つけ、他者の良いところを素直に認められる人が多いです。
しつけが後回し
過去記事にも書きましたが。
タメ口、立膝、etc。偏差値さえ上がればいいと考えている親は、これを窘めません。いや、どう考えてもおかしいだろ。個人コーチは保育士ではありませんよ?親は勉強を教えなくていいです、それは小学校の教諭や塾講師、あるいは家庭教師の役割ですから。それ以前の「しつけ」をきちんとしていただきたい。
子供に家事をさせていない
「お手伝い」をする時間があれば勉強を。その考えが子供を潰しています。何度も書きましたが、家事は理科と算数の宝庫です。日常生活から得る「常識」は大きい。勉強だけしていればいい、と子供が誤学習して良いことは一つもありません。
伸ばす親の家庭では、風呂掃除、あるいは洗濯物たたみなど、子供がやっていました。
子供に 「水!」と言われるとそそくさと水を持って行ってしまう
もうね、ほんと唖然とします。個人コーチをつけるご家庭は「偏差値は高いけど、それだけでなく、より深い勉強をさせたい場合」と「マンツーつけなきゃどうしようもない場合」の両極端なんですけどね。後者の場合、子供が王様なの。要は、親が足元見られてるんですよ。自分の仕事は良い点を取るだけ、それで親が喜ぶと思ってるから親を女中扱いするんです。
知る人ぞ知る名著「田代式 中学受験 国語の『神技』」にも書いてありましたが「水!」と言われたら水ぶっかけてあげてください(笑)。
一方、伸ばす親の家庭でそんなやりとりは見たことがありません。小5~6だったら自分で冷蔵庫から氷出して水注いで飲めるよね?
家が乱雑すぎる、または整いすぎている
ゴミ屋敷に伺ったこともあります。いわゆる億ションなのに、家の中は滅茶苦茶。これは、ご両親自身の頭がとっ散らかってる証拠です。上述した「いっぱいいっぱい」ともかぶるかな。
一方で、モデルルームみたいな整然とした家のお子さんも、予後はあまりよくなかったですね。もちろん、家庭教師という「他人」が家に来るので気を遣うのはわかるんですが、そこであまりにも「ボロを出してはいけない」と思い込む親御さんは、子供に対しても100パーセント完全無欠を望みすぎているのかな、と考えています。
スマホが手放せない
スマホは麻薬です。別記事で書きますが、ベストセラー「スマホ脳」には納得させられましたし、恐怖を感じました。スマホブームを巻き起こしたスティーブジョブスが子供にはIPHONEを与えていない、という恐ろしい事実。彼らは、いわば「麻薬の売人」です。スマホを手放せない親御さんは「不安商法」に踊らされる確率が高いですし、承認欲求の奴隷になっているケースも多いです。
つぶす親は、自分がスマホ/ネット依存だから、子供にも強く言えず、無制限に「スクリーンタイム」与えてますね。「子供がYouTubeばかり見ていて…」と相談を受けると、「スマホやタブレットをいつでも触れるようにしているのか?」と驚愕します。
一方、伸ばす親はネットに依存していません。トップ層はTwitterやインスタグラムでマウントする必要がないです。もしあなたがTwitterやインスタグラム、あるいはFacebookでマウンティングしていたら、即座にやめたほうがいいです。
ダメな声掛けばかりしている
これは、かなり長くなりますので別記事で書きますが。
簡単に言うと「自分が言われたらいやな言葉」ばかり子供にかけているということ。
つぶす親の言葉を「子供→親」に「翻訳」したらこんな感じかな。
「なんでお父さんはまだ部長になれないの?」
「お父さん/お母さんはなんであと10キロ痩せられないの?」
「なんでウチはこんな小さい家なの?」
「なんでお母さん/お父さんのごはんはまずいの?」
もっとありますよね、つぶす親が子供にかけている「なじる言葉」って。
伸ばす親は、こういう「自分が言われたら困る言葉」はかけません。
本を読まない
親が本を読まないのに、子供に強制できるわけありませんよね。子供は見抜いてますよ。自分ができないことをなんで私に強制するんだろう、って。時間がない、などは言い訳です。だって、中学受験で学校と塾でアップアップな子供のほうがよほど時間がないんですからね。
一方、伸ばす親は、実によく本を読んでいます。かといって、それを子供に強制もしない。子供は親の真似をしますから、親御さんがよく本を読んでいれば、子供も本を読むようになります。
常に我流
過去記事でも書きましたが、焦ってあれこれ手を伸ばす割には「我流」を貫くのもつぶす親の特徴ですね。後伸びタイプは、見ればわかります。だから「大丈夫です、この子は伸びるから」と言っても信じない。逆に、家庭でこういう試みをしてほしいと言っても「考えてみます(=やらない)」
「常識を疑う」ことは、たしかに科学の進歩のきっかけではあるのですが、それとも違います。偉人は「常識」や「他人のアドバイス」をやりもしないで我流を貫いてはいない。一度はやってみて、そこから我流=オリジナルを生み出している。
一方、伸ばす親は「とりあえずやってみる」方が多いですね。以前も書きましたが、その素直さが子供にも遺伝しているなあと感じます。
模試の過去問を入手して解かせている
これは最悪ですね。ぶっちゃけ、サピックスの親に多いです。
それ、本末転倒ですから。
百歩譲って、学習の一環としてならまだしも、サピ過去問をオークションで入手してやらせる親の目的は「いい点を取ってクラスを上げる」こと。いや、ほんとそれ無意味。
過去記事でも書きましたが、「塾の授業の少なくとも7~8割はその場で理解できる」のが「合ってる」ことなんですよ。塾内模試の過去問手に入れて、チートで上のクラスに行く、それってドーピングなんじゃないんですかね。
以前、そういうご家庭を受け持ったことがありますが、お子さんは授業中に奇声を発するようになり受験どころの騒ぎではなくなってしまいました。