とある講師のホンネ

フリーの講師。国・数・英・理を指導中。東大卒。現在は家庭教師中心ですが、大人の文章教室なども開いています。

大人の目が4つは多すぎる、ましてや…

一人っ子だと、どうしても両親の目が集中してしまいますよね。

兄弟姉妹がいると、そちらが叱られている間に「しめしめ」と一息つけたり、「父ちゃん母ちゃんの地雷は何か」を学んだりできます(笑)。

私は一人っ子ではないので想像するしかないのですが、大人の目が4つ自分を向いているというのはかなりの重圧ではないかと感じます。

 

「二月の勝者」では、理解ある父親風の武田パパに「子供に課金して何が悪い!課金ゲー上等!」と武田ママはキレました。たしかに、受験に対する考え方が違いすぎるとストレスなのはわかります。わかりますが、もしあれでパパまで課金ゲー上等の教育パパに変身したら、それこそ「受験少年院」であの子潰れると思う…。そもそも、武田ママは「パパみたいになってほしくない」と言ってるけど、いやその旦那選んだのはあんたやで(苦笑)。むしろ、パパみたいな生き方でも「幸せ」は感じられるという見方はできないのかな?夫婦がお互い「パパみたいになるな」「ママみたいになるな」と言い合ってる家庭で育つってどういう罰ゲームだよ。もっと言わせてもらえば、武田ママが「大卒じゃないと不幸」と思うなら、今からでも自分が大学行けば?子供にやらせるんじゃなくてさ。

 

「見守る目」は多いほうがいいけど

「見張る目」は2つで十分。

 

お、我ながらいいこと言ったな(笑)。

 

私はまず「子供をつぶさない」を最優先します。

私までブラック企業親に加担したら目が6つになるから。

結果的に、そのほうが肝心の学力も伸びていくから。

でも、その信念を持ち続けるのって、正直しんどいときもあります。

ブラック企業親に乗っかって、一緒になって生徒を詰めたほうが、そういう親にはウケが良いし、コマ数も増やせます(苦笑)。実際、そうしている同業さんもいます。勉強は「ひとりで考える時間」が絶対に必要なのに、空いている時間全部に入ろうとする個人講師とかね。子供をつぶしてでも金が欲しいのか、とげんなりします。そういう場合、私が自分の授業時間をあえてセーブして「自学しようね」と言っていても、結局親がほかの講師や個別や塾のオプションで全部埋めちゃうんで台無しなんですよね…。

 

塾がオプションがんがん勧めてくるのもそれに近い気がします。本当に必要だと考えているなら、オプションではなく年間の基本授業にするべき。

 

こういうの、いわゆる「不安商法」ですよね。

  

mikoto2020.hatenablog.com

 

不安をあおってあれこれ買わせた場合、熱が冷めると「あそこは悪徳だ」と気づくわけですが、受験業界は「卒業生のその後」を気にしなくてよいので不安商法がまかり通るのかな?

 

嘆いても世の中から「煽り商法」「不安商法」がなくなるわけではないし、そもそも煽りに乗ってしまう親御さんというのは、潜在的に「煽りに乗りたがっている」フシもあるので、私の信念なんてまさしく蟷螂之斧ですけどもね。

 

葛藤は、日々あります。でも、受験かかわらず5~10年間お子さんを継続してお預けいただけているという事実、「卒業生」たちがいまだに慕って事務所に遊びに来てくれているという事実、それを信じて今のスタイルで行こうと考えています。まあ、増やそうにもすでに枠いっぱいだしな。