とある講師のホンネ

フリーの講師。国・数・英・理を指導中。東大卒。現在は家庭教師中心ですが、大人の文章教室なども開いています。

我が子をつぶす親:受験ギャンブルで苦しんでいる親御さんへ

今回は「わが子にここまで強いる私はおかしいのではないか」「悪いとわかっているけどやめられない」方向けの記事です。

 

教育関連BBSやそのほかSNSを見ていると、「受験ギャンブル」にハマっている親御さんは大きく2つに分けられるなと感じました。

・このままじゃ子供を潰してしまうかもと思いながら不安で「降りられない」

・「受験ギャンブル」にどっぷり浸かり、悪いとも思っていない

子供のためには後者の方にこそ気づいてほしい気がしますが、もうそこまでくると麻薬中毒と同じなので、こんな泡沫サイトが何を言ってもナンセンスだと思いますから割愛します(いつか、こうした「教育虐待家」にも児相が関与できるようになるといいと願っておりますが)。

 

「受験ギャンブル」「教育虐待」については、これまでさんざん書いてきました。

で、気づいたのです。

「それが悪いとわかってない親」はともかく「自分でもまずいと思っている、あるいは疑問に思っている親」は、「自分ではもはや止められないのではないか」と。

麻薬中毒の人に、「麻薬は良くないよ」と言ってもナンセンスでしょう。

本人だってそんなことわかっているんです。

「わかっていても止められない」人へのアドバイスが、この業界にはないかもしれないな、と思いました。「教育虐待」でググると、いろんなサイトが出てきます。でも、ほとんどが「教育虐待は良くない」で終わってるんですよね。「麻薬、ダメ、ゼッタイ」が効くのは、まだ麻薬やってない人ですよ(苦笑)。すでに麻薬=受験ギャンブルにハマった人には、そんな善悪論ではなく「やめる方法」が必要なんじゃないかと思って、今回の記事を書きます。

 ・「受験ギャンブル」についての過去記事

 原因や特徴については、以下の過去記事をご覧ください。

mikoto2020.hatenablog.com

mikoto2020.hatenablog.com

mikoto2020.hatenablog.com

mikoto2020.hatenablog.com

mikoto2020.hatenablog.com

 

・いますぐ、親自身が何かの「試験」を目指せ

正直、これまで毒親」だな…と感じた親御さんって、全員「暇」でした(苦笑
別記事で書きますが、「エクセル親父」とかね。

どんだけ暇なんだよ(苦笑

会社では窓際、これ以上の昇進が望めないのは自分でもわかってる。

人間、ぼーっとしてられる人って少ないんですね。

暇になると、余計な事し始める。

自分が「この先」が見えなくて、暇があるから、子供というコマを使ってリベンジしたい、その時間は十分ある…となっちゃうんですね。

 

この「暇」は「物理的な時間」とは別物です、ここ大事。

たとえ会社で忙殺されていても、それがただ忙しいだけで「将来に繋がらない」場合、「向上心の暇」ができます(造語です)。
会社からは向上を求められておらず、「もうあんた今のままでいいよ」と(無言で)言われているわけですからね。で、そのモヤモヤが子供に向かうわけです。

それを子供で晴らすのは間違っています。

たとえあなたのお子さんが御三家に入っても、あなたが会社や家庭で重要視されていないことの穴埋めにはなりません。

自分の心の穴は、自分で埋めるしかないです。

 

心に「暇」が生まれてしまうのを防ぐには。

ズバリ、ご自分が何かの「試験」を目指すのがいいです。

もっと言うと、大学再受験がおすすめです。

 

というのはですね。

子供の受験ギャンブルにハマる親って、「競争大好き」なんですよ(笑

でも、社会に出てからの競争って、テストの点だけで決まらないじゃないですか。

だから、その鬱憤が子供に向かうんですよ。

「俺なら/私ならうまくできる」ってね。

でも、それ間違ってますから(笑)。30歳超えたあなたには簡単に見える問題も、12歳には難しいんですよ。

12歳の子供をアバターにしてゲームするより、ご自分が「試験」受けてみませんか?
きっと、よっぽど楽しいですよ?

 

「自分が、もうこのままでは先が見えている」と思うからこそ子供に教育虐待してしまうわけで、「自分」に「まだ先がある」と思えたら、子供がアルファだのベットだの、どうでもよくなりますよ?(笑)楽しくって、我が子の偏差値とか、良い意味でどうでもよくなります。

 

ご両親が何かにチャレンジすれば、子供にも好影響ばかりですよ。

「チャレンジする立場」になることで、子供の気持ちもよくわかりますし、ご自身に新たな目標ができることで「子供が〇〇に入らないと終わり」という考えが消えうせます。ご両親が頑張る背中を見ることで、子供も刺激されます。

yasumasa2012.net

この方なんて、その権化ですよね。

 

もし、教育ギャンブルにハマっている理由が「自分ができなかったことを子供にかなえてほしい」ということなら。いっそ、自分でやってみるという発想の転換があります。

 

SNSや教育系BBSを見るな

経験上、教育虐待に走っている親御さんは、SNSや教育系BBSの常連でした。

どれだけこちらが「それは面白おかしい噂話ですから」と言っても信じてくれません。

 

Twitter?インスタ?Facebook?(笑)

自分の人生に満足している人は、それらのSNSでひけらかす必要がありません。

一日に何十と投稿している人は、あなたにマウンティングしたいため、または「30分に一度は誰かから『いいね』されないと自信が持てない」んです(笑)。

 

そうしたSNS廃人の日常をイメージしてみましょうよ。

一日中、イライラしながらスマホに向かっているイメージ。

 

そんな人の言うことを真に受けて余計なイライラを感じてしまうことって馬鹿馬鹿しくないですか?

情報を手に入れるため?

そんなの、各学校の「公式HP」でことたります。

 

SNSや各種掲示板のほとんどは「マウント合戦」だと思って無視しましょう。

時間の無駄です。

そう思っても、見てしまった以上、気にしないわけにはいきませんよね。

一番良いのは「見ないこと」です。

 

・自分の「不満」は何か書きだそう

受験ギャンブルにハマって苦しんでいる親御さん。

あなたの「不満」は、実は子供の成績のことじゃないんじゃないですか?

あなた自身が、思ったように生きてこられなかったこと。

パートナーが思い通りにならないこと。

そういう不満を、「わが子が有名中に行ったら解決する」と思っていませんか?

はっきり言いますね。

子供がたとえ東大に行こうと、自分のこれまでの人生への不満や、パートナーへの不満がプラマイゼロになることはありませんよ。

あなたが、自分のこれまでの人生について不満なら、あなたがやり直すしかない。

パートナーへの不満は、パートナーとの間で解決するしかない。

どちらも、子供にはまったく責任ありませんし、子供がどうなろうとあなたの不満は消えません。

 

受験ギャンブルにハマって教育虐待している親は、往々にして、こうした不満を子供の成績のせいにしています。

「私は/俺は 何が不満なんだろう」と紙に書きだしてみることで、「それは我が子には関係なかったな」と気づけることでしょう。

・シミュレーションしよう

悪気はないんだけど、不安から子供にあれこれさせ、結果的に教育虐待になってしまっていて、自分でも苦しんでいる親御さんへ。

たぶん、親御さん自身高学歴で、「そうじゃない世界」を知らないために不安で不安で仕方なくなっちゃってるのかもしれませんね。

 

そういうときは。

シミュレーションしてみましょう。

いや、その前に、わが街を歩いてみましょうよ。

・脱サラして立ち上げたっぽいパン屋さんやラーメン屋さん

・名前も聞いたことないけど長続きしているっぽい工務店

・いまにも潰れそうなのに30年続いてる電気屋さん

・最近急成長したお店の支店

etcetc...

正直、「高級」サラリーマンよりもよほど豪勢な方たち、町中にいますよね(笑
中には相続などのケースもあるでしょうから一概には言えませんが。

私も自分が脱サラするまでは不安でしかたありませんでしたが、やってみたらなんのことはない、意外とこの国「レールに沿わなくてもいい生活できる」んです。たぶん私も、近所の人からは「昼間ぶらぶらしてて無職っぽいのになんであんな高いマンションに住んでるんだろう?」と不審がられていると思います(苦笑。

 

何が言いたいかと言うと。

中受ごとき(あえて、「ごとき」という言葉を使わせていただきます)で身を削るほど悩まなくても、なんとかなるということです。

さらに言うと、「各中学の『出口』なんて自分にとってはなんの関係もない」です。

お母さん方の目には、各中学の「東大実績、早慶実績、国医実績」ばかりが目に入るでしょうが、それ、「その学校にトップで入った層」の出口ですから(苦笑。ギリで押し込んでも、そこには行きませんから。

話が逸れましたね。

我が子のクラスがアルファから落ちた、NNで冠コースに入れない、etc...と悩みつつ「なんかこれはおかしいのでは」と感じている親御さん、あなたは「受験ギャンブルの沼」から引き返せます。

「そうじゃなかったらどうなるのだ」というシミュレーションをしてみましょう。