とある講師のホンネ

フリーの講師。国・数・英・理を指導中。東大卒。現在は家庭教師中心ですが、大人の文章教室なども開いています。

「塾ナシ」で伸びる子、向いている子とは

何度も書いてますが、私の生徒は6~7割が塾ナシです。

それで東大はじめ、第一志望の難関校受かってるんだから立派なものです。

彼らはまた、「私と勉強始める前より学力が超大幅アップ」しているのも特徴です。

 

自分を持ち上げたいわけではありません(まあ正直ちょっとそれもあるけど(笑))。
でも実際、私のところに来るまでは「とうてい無理」と言われた、偏差値にして10~20超の学校に受かっていってるからほんと尊敬します、彼らの力を。

 

彼らのことをつらつらと思い出してみると、共通点がありました。

 これらは「塾ナシで伸びる条件」「塾ナシの方が伸びるケース」と言えるでしょう。

 

第一志望に惚れ込んでいる

過去記事でも書きましたが、愛こそパワー(笑)。 

mikoto2020.hatenablog.com

 

塾・予備校ナシ受験は、周りからの刺激が少ないがゆえに停滞するリスクはありますが、逆に言うと本気で惚れ込んでいたら、周りからの刺激や競争意識などは不要です。

自分のことをわかっている

自分がこれまでどれだけサボっていたか、志望校までのギャップがどれくらいか、自分の得意不得意、今自分は何をしなければいけないか。

こうしたことをわかっている子は、塾・予備校ナシで頑張れます。

というか、そのほうが向いています。

なぜなら、集団塾というのは「最大公約数向け」の授業にならざるを得ず、こうした生徒のニーズにマッチしてはいないからです。 

教科ごとの凸凹が大きい

理数だけが苦手、はたまた国社だけが苦手。

こういう場合、その科目に絞って個人コーチつけたほうが伸びます。

 

誰にでも向き不向きはありますが、ある科目だけが極端に弱い場合、そこには何らかの原因があるからです。集団塾では、その「原因」はわかりません。だってそこまで一人一人のことは見ていませんから。

 

教科ごとの凸凹が大きくても、塾のクラス分けは総合点でなされますから「国語は楽勝だけど算数はさっぱりついていけない」ということが起きます。

予備校では、現役ならば「単科受講」ができますよね。

正直、中受塾もそうなるべきだと思っています。

 

スタートが遅かった

小6で、突然受験したくなった場合。

小6から集団塾に入ってぐんぐん伸びるケースももちろんあります。

でも、いまや中学受験塾は「小4~小6」少なくとも「小5~小6」でカリキュラム組んでます。ですから、「前年度教えたことはわかってて当然」という授業になります。

 

こういう場合は、ズバリ個別か家庭教師がベストです。

得意分野か不得意分野かを見極め、それぞれにベストな対応ができるからです。

他の子が3年かけてやるところを1年でやるなら、同じやり方は合わないのは考えるまでもありませんよね。

 

親が口を出さない

これまで塾・予備校ナシでバクノビし志望校合格していったケースでは、振り返ると親御さんが子供を信頼し、かつ講師を信頼し、全面的に任せてくださっていました。

 

そもそも、みんなが3年かけてやるところを1年でやろうとしているのです。

科目によっては4年生の基礎からやる必要がありますし、得意な科目はより難易度の高い課題を与えたり。そういった調整を、個人コーチはしています。

 

そこに「親塾」が入ってきちゃうと台無し。

基礎からやり直す必要がある科目で、勝手に難しい問題を解かせたりとか。

 

船頭多くして船山に登る。

 

子供が「やる」と言っているのだから信じて任せましょう。

 

塾ナシ個人コーチのみのメリット

本人が「真に本気」ならば、塾ナシはメリットだらけと言えましょう。

本気、かつ自制心のある生徒にとって組み分けテストなんてノイズでしかありません。

だって、大学受験の予備校で組み分けテストなんてありますか?(笑)。

 

なぜ中学受験塾で組み分けテストがあるかというと「子供は目先のことしか考えられないから、目先の組み分けテストに夢中にさせる」ためなんです。

 

これにはもちろん利点もあります。

小学生にとっては半年先ですら「遠い未来」ですからね。

数か月ごとの組み分けテストで緊張感を保つ、たしかに一定の合理性はあります。

でも、これが大きな問題をはらんでいます。

生徒本人のみならず、いやむしろ親が組み分けテストに血眼を上げることになる。

それって本末転倒。

最後に笑えばいいんです。

 

まあ、親に誘導されての「なんとなく受験」の生徒たちは、こうした目先の順位付けがないとユルんでしまうのはわかります。

でも、真に本気の生徒に、「塾内の順位」なんていう「ノイズ」は不要です。

全体の中での立ち位置は把握する必要がありますから、模試は受ける必要がありますけれどもね。

 

集団塾や予備校の危険性は、もう一つあります。

「行くだけで勉強したつもりになる」ことです。

塾によってさまざまですが、小6になると拘束時間が半端ないですよね。

12歳が、4時間ぶっ続けで集中保てるでしょうか?

でも、塾に行かせてる以上、「〇〇時間勉強した」と思ってしまいますよね。

親御さんも、本人も。

サピックス中下位についての記事でも書きましたが、その4時間は、「ついていけてない子」にとっては「薄い時間」なんです。

だったら、行き帰りの時間も含めて、「自分にとって濃い時間」にしたほうがよほど良いですよね。

 

「本人の志望が本気」で「周りとの競争がなくても頑張れる子」の場合は、塾ナシで十分どころかお釣りが来ます。

「常に競争に晒されていないとユルむ」場合や「自分の立ち位置を客観視できない子」の場合は、集団塾の組み分けを利用せざるを得ないでしょうね。ただ、「親だけが本気で子供はそれほどでもない」場合、集団塾の競争原理は逆効果です。これについては、後日書きます。