とある講師のホンネ

フリーの講師。国・数・英・理を指導中。東大卒。現在は家庭教師中心ですが、大人の文章教室なども開いています。

五輪に学ぶ(1)~「やる気」とは~

23日の開会式を号泣しながら見てそのまま五輪漬けです(^^;

もちろんオンオフはメリハリつけて、仕事優先でやってますが!

 

コロナ禍のもと、またメディアスクラムが与党批判のために五輪を否定にかかるという大逆風の中、土壇場でひっくり返る可能性もあるのに水面下で準備を進めたすべてのスタッフとアスリートの皆様に頭が下がります。

 

ある意味、無観客での開催と言うのは後から考えるとベストの選択だったという評価になる気がしてなりません。アスリートの方々にとっては(もちろん観客の声援がパワーになることはあるのでしょうが)結局、本番では「自分との闘い」になるのだなと痛感させられました。観客がいようといまいと素晴らしいパフォーマンスをなさっているアスリートの皆さんから、毎日、いや、毎時間学んでいる最中です。

 

チケット代や波及効果も含め、かような逆風下での無観客開催は金銭的には大きな痛手となることでしょうが、そこを取りに行って感染拡大があっては本末転倒ですし、かといって「だったらやーめた」というのも違いますし。

リモートだからこそ、配信で、テレビでは放映されない競技をじっくり見られていることも嬉しいですね!

今日は、カヌーとアーチェリーとサーフィンをできる限り観ました。

もちろん、柔道とスケボーもリアタイしましたが!

カヌーもアーチェリーもサーフィンもすごく面白いですね!

今日は大野くんや体操ニッポン、そしてスケボーに話題が集中していましたが、アーチェリーもぜひ多くの人に見てほしい素晴らしい戦いでした!

特に、追い込まれてからの最後の一射を、ど真ん中に入れてきた武藤選手の精神力に震えました。

 

そんなわけで連日、号泣しながら勇気と情熱をもらっているのですが、テレビ局や本部組織に言いたい……日本人選手だけじゃなくて、メダリストの外人選手にたくさんインタビューして流してほしい!

それが「おもてなし」だと思う!

たとえば阿部詩さんの宿命のライバル、ブシャール選手のインタビューは是非聞きたかった!ぶっちゃけ、タレントの観戦動画は要らないです。タレントを観るために五輪観てるんじゃないですから。その競技に詳しい方ならともかく、タレントって競技の勉強すらしてませんし(苦笑)。

 

話が逸れました。

オリンピックって、最初は日本人の活躍を期待して見始めていても、いつの間にかトップアスリートたちに魅せられていくものなわけで。日本人かどうか関係なく、メダルを取ったかどうかも関係なく、できるだけ多くの選手のインタビューが聴きたいし、日本人がメダルを取れそうにない種目でも、トップの方の来歴は知りたい。

1964の東京五輪とは違うんです。

国を超えてトップアスリートを観たい気持ち、たたえたい気持ちを多くの日本人が持っているはず。民放の五輪サイトもNHKの五輪サイトも日本人中心なのがちょっと寂しいですね。たとえばマウンテンバイクのイギリスの選手は来歴知りたくなりましたし!

 

語りだしたらキリがないんですが、やっぱり、日々学問を教えていて、「彼らほどの思いで日々勉強している生徒がどれほどいるのか」と考えると、ちょっとやるせない気持ちになります。

 

これは、五輪を見てにわかに感じていることではありません。

すべての生き物が、一日一日を真剣に生きている。

なぜなら「貯蔵」「生産」ができないからです。

 

人間は生産して貯蔵するという技を手に入れ、かつその「貯蔵」を「皆で分け合う」ことを覚えたせいで、怠けることができるようになりました。

「怠け」は「いざというとき」のための余力とも言えますから、悪だと一刀両断する気はありません。

ただ、親や周囲がどんなに必死で背中を押しても、お金をかけても「屁とも思わない」子供たちがいるのも事実です。彼らは、やはり恵まれすぎているんだと思う。勉強できるのはとても贅沢なこと。勉強に向いていないのなら、別にその贅沢を手放してもいい。でも、「生きること」には真剣でいてほしい。遊んでいても「食べるものに困らない」というのは、すべての生き物の中で非常に特殊なことなのだと知ってほしい。

 

以前も何度も書いていますが、理想を言えば、「本気で向上したいと思っている生徒」だけを教えたい。成績の良しあしではありません。偏差値30切っててもいいです。本人が本気かどうか、なんです。

 

たとえば、道場に、ふてくされたような子が来て不真面目にやっていたら即日辞めさせられますよね。「何かを教えてもらう」ということは、最低限「教わろう」という気がなければ失礼です。

 

こと勉強に関してだけは、本人はどうでもいいと思っていて=世の中なめていて、親がバンバン課金して「やる気スイッチを押してもらおう」とやってくる。

それは、違うと思っています。

 

講師もピンキリですが、トップ講師の授業を受けたいなら、生徒の方も襟を正して真剣になってほしい。そしてそれは、親の責任です。

受験業界が「やる気のない人間」まで引き受けてしまうのは、この業界、「教えたい人が多すぎる」せいだと思います(苦笑)。トップ講師の実力がなければ、やる気のない子を引き受けるしかないですから。

 

誤解のないように、念のため。

私は「親に『やる気』を潰された子」については、大いに味方であり最大限サポートしています。でも、もともとやる気のない子、については、これは講師のチカラ云々じゃないと思います。

 

アスリートの戦いは「一瞬」の戦い。

一瞬の勝負のために数年間努力できた人が、大舞台で輝く。

受験も一緒です。

ダラダラ日々を送っている子の一人でも、オリンピックを見て気づいてもらえればと願わずにいられません。