まあ、サピックスに限った話ではないのですが。
何度か書いてますが「記述力は集団塾では伸ばせません」という話です。
文章力を伸ばすには、一にも二にも、「丹念な推敲」が必須です。
記述が苦手、と言っても色々あります。
・そもそもの読解ができていないケース
・主語述語がねじれるなど文法の問題
・言いたいことが表現しきれていない
など、原因は千差万別ですからマンツーマンでしつこくやるしかありません。
集団塾ではそんな時間はありませんから「キーワードがあればOK」という雑な指導にならざるを得ないのです。
そのため、小学生たちは
「正しい文章を書こう」
ではなく
「とにかくキーワードを探して書こう」
になります。
嘆かわしいことこの上ないですね。
ということは以前も書きましたが。
今回は、さすがにこの模範解答はないだろうと思いました。
7月度復習テストの大問3の問9。
主人公が兄を「うらやましがっている」描写はありません。
「自分より先に自立して外の世界に出た」ことを祝福する気持ちは伝わってきますが、羨望する気持ちはまったく伝わってきません。もし主人公に羨望の気持ちがあるのなら、「胸がちくりとした」というような表現を作者は入れるはずです。ここで「羨望」という感情を持ち込むのは、模範解答を書いた方がこういう場面で他人を「羨む」からなのでしょうか。
羨望とは少しズレますが、兄に対する「なんで自分だけ」「私を置いていくの!?」という激しい感情は、前のシーンでは書いてありますね。でも、設問の部分では、それらが「昇華」されているんです。だから「金色に輝いて見えた」んです。その「昇華」が「うらやんでいる」という表現では台無しです。
あくまでも、あの場面での軸足は兄にあります。「羨む」という感情は、自分中心の、自分に軸足のある感情です。全然違うのです。
記述問題を解かせるなら、言葉の一つ一つにもっと真剣に相対峙してほしいです。