とある講師のホンネ

フリーの講師。国・数・英・理を指導中。東大卒。現在は家庭教師中心ですが、大人の文章教室なども開いています。

来期から中受指導を辞めようと思う(3)

辞めようと思う、というか、もう辞めることを決めたんですが(笑)、一応過去記事っぽいのがあるのでタイトルをそろえてみました。

 

年々、「勉強に向いてない子」が中受させられるケースが増えているように感じます。

 

よく、やる気がどうのこうの言うじゃないですか。

その「やる気」を与えるのが教師の仕事、みたいなのに疲れ始めているわけです。

たしかに、他人の働きかけで「やる気」が出る場合はあります。

それは、

・スランプで自信をなくしている

・これまで勉強の面白さに気づけなかった

場合です。

こういうケースは、私は得意です。

初回の授業で「やる気」を取り戻させることができます。

 

でも、子供の中には「勉強が苦痛にしかならない」子が一定数います。

・生まれつき

・親の要求が高すぎる

のどちらかですね、経験上。

というか、この二つの原因が合わさっていることが多いですね。

本人は勉強が苦手で小学校のテストすら60点台なのに、難関校目指す親が最近増えている気がしています。

 

高校野球なら、そうですね、地区予選ベスト8くらいが「甲子園目指そうかな」と思えるんじゃないですかね。もちろん毎回初戦敗退高でも、気分を上げるために「夢は甲子園優勝!」と言うのは自由です。それが、気分を上げるためではなく本気で初戦敗退校に甲子園優勝を目指せ!と言ってしまうのが、一部の中学受験親の実態です。

 

私は、生徒の能力の高低はまったく気にしない。

そりゃ、好奇心が強くて地頭が良い子は教えるのにストレスがないどころか教えてて楽しいので無料でもいいなと思うくらいだけど(笑)、生徒自身が「今をなんとかしたい」「できるようになりたい」と思っていれば、偏差値がどうだろうと教えることは楽しい。

でも。

「親が、子供の能力とかけ離れた目標をかかげている生徒」に教えるのはしんどい。

生徒本人の能力がどうであろうと、その子にあったタスクを与えれば、その子は勉強が楽しく感じるし、成長します。それが学びだと思う。でも、親がとんでもない目標をかかげていると、こちらもやりづらいし、何より子供が勉強を嫌いになってしまうんです。親のせいで勉強が嫌いになっている子は、個人コーチだけではどうにもしがたい。

中受指導辞めると決意したのは、それが理由です。

私は、生徒本人と向き合いたい。

中学受験は、生徒本人と向き合えないことが多いわけです。

親の要求が、子供の能力から乖離しているからです。

 

ほとんどの中受生は、親から「やらされてるだけ」で、当事者意識ゼロです。

徒労感、半端ないです。

私は常々、教師と医者って似てるなと感じてるんですが。

多くの中受生(のうち、個人コーチまで必要とするケース)って、「患者本人は自分がどういう状態か知らないし、治そうという気もないんだけど、親だけがやっきになってる」パターンです。

 

「嫌々やらされてる子」って、態度が目を疑うレベルです。

何を聞いても返事すらしない、腕組み、頬杖、etc。

これがピアノやバレエやスポ小なら、嫌々練習してる子に(まあ一応レッスンはするでしょうけど)励ましてほめあげてやる気を出させる必要なんかないですよね。むしろ、おととい出直してこい、じゃないですかね。

中学受験で偏差値10~20上の学校を夢見ている親の多くが、子供が講師にタメ口きこうが、ダラダラ授業受けようが、寝ようが、まったく気にしていません。「やる気を出させるのは講師の仕事」だと思っているのでしょうね。それ以前の話なんですけどね。

 

幸い、来期も口コミや継続指導ですでに埋まりつつあるので、中受指導をこれ以上受けなくて済みそうです。

今日は愚痴ばかりになりました、お見苦しくてすみません。