「毎日ちゃんと勉強しているのに模試の偏差値が伸びないです」
「うちの子、毎日3時間は勉強しているんですが成績が伸びないんですが…」
「子供のやるべきことを『見える化』してるんですが、どうも効果なくて…」
しょっちゅう受けるご質問です。
ご相談者の悩みは深刻だと思われます。
ノー勉なら成績上がらない理由は一目瞭然ですが、「やってるのに上がらない」となると「才能がないのだろうか」と不安になってしまいますよね。
ご安心ください。
その原因はほぼ一つに集約され、真剣に向き合えば改善できます。
でも、そのためには「痛み」と向き合う必要が出てきます。
自分のダメなところをスルーしては、改善できないからです。
もしその覚悟があるならば、次のことを疑ってみてください。
自分の/わが子の勉強の仕方、あるいは親のサポートが「作業」になっているのではないか?ということです。
「学び」ではなく「作業」になってしまっている具体例としては
・「答えの見積もり」「計算の工夫」をせずに、ひたすら計算練習をする
・英単語や漢字を、例文を読まずにひたすら単語のみを書いて覚える
・問題を解いて丸付けはするが、バツの分析をしない&解説を読まない
などなど。
親のサポートが「作業化」してる筆頭は
・エクセルでスケジュールを作る
ですね。
勉強でも仕事でも、はたまたスポーツでも芸術でもすべてに言えると思うのですが、「なぜ間違えたんだろう」「どうしたらできるようになるんだろう」を考え抜き、理解してさらに定着させるには、相当な脳のエネルギーを使います。
ビジネスマン時代、部下を採用し教育する立場にいた時期があります。
その中で、人には大きく分けて3タイプあるなあと感じました。
1)上述した「考え抜いてクリアし己のスキルを上げること」が好きなタイプ
2)1)が面倒なので、創造性を求められない仕事を選ぶタイプ
3)1)は面倒だが、「やってるつもり」にはなりたいし、他人からもそう見られたいので「作業と言う名の努力」に時間を費やすタイプ
1)の人は総合職やリーダー向きですね。
2)のタイプの人も、自分に合う仕事がわかっているわけで、これは世の中適材適所ですから、本人も周りもハッピーな状況と言えるでしょう(除く:ブラック企業)。
実は、周囲が疲弊するのが3)タイプ(^^;
ビジネスにはゴールはなく、日々新しい問題と向き合いクリアしていく必要があるわけですが、このタイプの人は「解決策を考え出す」ことには時間と労力を使わず「他人から、解決策を考えていると思ってもらえる」ことに時間と労力を使ってしまいます。
そして、会議で「自分はこれだけ時間をかけて分析しました」というようなことを滔々と語るわけですが、そこには結論がなく会議室内には「……」と重い空気が流れることになります(苦笑
話が逸れましたね。
実社会でのあれこれは語りだすとまた長くなるので置くとして。
そう、3)タイプの人は、「考える、試行錯誤する、間違いを分析する」という「脳が疲弊する」ことから無意識に逃げているのです。
そのとき、「作業」は良い逃避先になってしまうのですね。
勉強の目的は「できなかったことができるようになること」
非常にシンプルです。
そこにおいて
「脳が働かない『作業』」は百害あって一利なし、です。
私はいつも「(理解段階では)問題を解く時間の2倍、答え合わせに使え」と指導しています。(理解した後の、練度を上げるステップでは反復に時間を使って構いません)
(詳しくは、過去記事に書きました。)
「今できない、わからない問題」と向き合うのって、しんどいです。
「手作業」に逃げている間は「思考」から逃げられます。
もちろん、クールダウンとしては「作業」は有効です。
でも、いつまでも「作業」に逃げていては一歩も前に進みません。
スポーツでも一緒ですよね。
前回も書きましたが、「基礎練の意味」を考えずに頭空っぽでドリブル練習やパス練しても「作業」でしかないのと同じです。
「作業」でも時間は過ぎて行ってしまいますから、これは怖いことです。
やってるつもり、が空回りにならないように、いつも「考え」ましょう。
親御さんの「エクセルスケジュール」も同様です。