過激なタイトルですみません。
でも、いつか書かなければいけないと思っていたことを少しずつ書いていこうと思う。
「偏差値40と言っても『中学受験する優秀な集団』の中での偏差値だから小学生全体で見たら上位!」
ウソだらけの「二月の勝者」でも黒木がしたり顔で語っていた理論ですが、うん、これ真っ赤なウソ。
小4、下手をしたら小2から塾漬けにして
「解法」をバンバン教え込み
数年間ガッツリ受験勉強させてそれでも6年になって
割合でどっちで割るのかしょっちゅう間違えていたり
速さの概念があやふやだったり
読解が偏差値40割っていたり
理科でありえない答えを連発している場合
少なくとも現時点では「優秀」とはいえない。
「二月の勝者」ではY偏差値40でも小学校のカラーテストは満点!と描かれていましたが、実際の偏差値40前後の子の学力はそんな甘いもんじゃないです。
●そう難しくない漢字のヘンとツクリを逆に書く。
●語彙を覚えるのは「暗記」だと思い込んでいるので、小テストをやると
前提:この上もないこと。
至上:結論を導き出す根拠。
とか平気で答えます(苦笑)。つまり、言葉を理解しようとしているのではなく、暗記クイズなんですね。だから、一ページに5個語彙が載っているページを丸暗記して、間違えて覚える。逆になってしまっても「ミスだ」と考えてしまう。
●カラーテスト満点どころか7割くらい
●算数のカラーテストは「意地悪くない」ので、テキトーにかけたり割ったりすれば数字は合うことが多いのに、それでも間違える
こういう子でも、Y偏差値40台前半の学校には「合格」します(経験談)。
このブログをずっと読んでくださっている方ならわかってくださると信じていますが、私は学力偏差値は「モノサシのひとつでしかない」と考えています。ですから、偏差値40の学校が悪いというつもりは毛筋ほどもありません。
ですが、だからといって「中受偏差値40でも優秀ですから!」と親をおだてて中受に参戦させるギョーカイには辟易しています。
「でも、偏差値40の学校からも早慶が出ているじゃない」
という声が聞こえてきそうです。
たしかに、私も以前そのバンドの学校の子を教えて早慶上理に合格させた経験はあります。でも、その子の場合は「擦り切れるまで勉強してギリギリその学校だったわけではない(親御さんがそこの卒業生で熱望していた)」という特殊要因があり、なおかつこれを自分で言うのも口幅ったいですが、私と出会ったことも大きいです。高2までその学校でも低空飛行だったのが、私と出会って人生観が変わって勉強大好きになりバクノビした結果です。これもある意味特殊要因です。
偏差値40前後の学校は、さすがに国立上位は無理なので早慶MARCHの進学実績を売りにしていますが、ここにカラクリが潜んでいます。
上述したような大器晩成バクノビケースも、もちろんあるでしょう。
でも、みなさん中学受験が「浪人できない一発勝負」ってこと忘れてませんか。
学力が高くても、「2月1日の勝負」に負ける子が大半。
ですから、もともとの学力より低い学校にくる子も多いわけです。
そういう子の中にはクサってしまって地滑りしていくことも少なくはないですから必ずしも「第一志望残念組」が進学実績を叩き出していると断言するつもりはないですが、でもやはりそういうケースは多いです。
さらに、「特待生」が複数進学実績を叩き出しているケースも多いですね。
もっと言うと、これが私学の不思議なところなんですが、偏差値40くらいでも早慶MARCHの推薦枠を持っている学校は多いです。この辺は私大の苦肉の策と言うか私大の闇というか。一般受験したら間違いなく落ちる学生が、この推薦枠で早慶MARCHに入っていく。
この「推薦枠」を「オトク」と見るからこそ「なにがなんでも私立中」と色めき立つ親御さんも多いようですが、それこそいばらの道ですよ。公立中の内申制度以上に不透明ですよ、この推薦枠。公立中なら内申がおかしいと思ったら教育委員会に怒鳴り込むことも可能でしょうが、私立は不可能。この辺については、ン百万もかけて私立に行かせた親御さんはいわゆる「サンクコスト」がでかすぎて「それでもやっぱり私立が良かった!公立はクソ!」としかいわないので、冷静に見ていただけたらと願うばかりですね。
何が言いたいかと言うと。
その学校から早慶MARCH進学者が出ているからと言って
あなたのお子さんが早慶MARCHに行くことには必ずしもつながらない
ということです。
もちろん、ここで何度も書いているように、中受なんて通過点でしかありません。
身体もメンタルも成長しきっていない時点での「試験」なんて、誤差です。
(突き抜けた天才たちは別)
中学入学偏差値40でも、大器晩成でバクノビすることはある。
でも、それはレアケースでもある。
その「レアケース」を盛大に掻き立て、「あなたのお子さんも私立に入れさえすれば人生バラ色!」と煽っているのが中学受験「産業」ということです。
大器晩成バクノビのケースとしては
・小学生のときは親からやらされるだけだったのが、勉強の面白さに目覚めた
・良い「師」に出会って価値観変わった
・たんに12歳時は幼すぎた
・余力があった
などいろいろありますが、「その子」が大器晩成バクノビするかどうかはその子次第。
その子の「実力」がどれくらいか一番わかるのは親のはずなのに、親が一番わかっていないのも事実。希望的観測が入ってしまうからですね。
つくづく、株と一緒やなあと思います。
某教育掲示板などを見ても「今さら降りられない」「これまでやったことは無駄じゃないからこのまま突っ走る」という言葉をいやというほど見ます。
株って損切りが一番大事なんだけどね。
証券マンは「今売ったら損ですよ」「もう少し持っていれば」と鬼ホールドを勧めるか、カネヅルになると思えば手数料目当てでどんどん新しい株を買わせようとします。中受で言えば「鬼ホールド」は「中受から撤退させないこと」であり、「新しい株」はオプション講座や提携の個別指導ですね。
中受というのは、心身未発達の「子供」が確固たる自我を持つ前にとりあえず刷り込んで押し込んでしまえという意識を強く感じます。
中受ギョーカイは「公立は魔窟」「3年ごとに受験があるのは大変」とことさらに親を煽りますが、盗んだバイクで走り出して夜中にガラスを割って回る学生が多い地域でなければ公立中はいたってフツーの環境ですし、3年に一度「試練」が来るのって私はむしろ良いと思いますけどね。まあこの辺は個人の好みなのでどっちがいいという気はないですが、「ことさらに片方をいいと持ち上げる人間が多い」事象に関しては、眉に唾をつけて聞いた方がいいんじゃないかなあ。
あと、これも項を改めて書こうと思ってるんですけど。
最近目につくのが「私立で男女別学だとオタクにも居場所があるから」的な志望理由。
男女別学は良い面もたくさんあります。
思春期の人間にとって「異性から勝手に評価されるランキング」ほど心を傷つけるものはありませんからね。そういうのから無縁に過ごせるのは良いことでしょう。
でも、「オタクがオタクのまま過ごせるから」私学別学、というのはちょっと危険かな。(その意味で「二月の勝者」の加藤くんに対する黒木の勧誘は疑問)
「学校」を出たら、「オタクが活かせる業界」に進むのではない限り、いつか「一般人」と普通に渡り合わなければいけないときがくるわけで。こういうのこそ、先に延ばせば延ばすほど取り返しがつかなくなりますね。
とりとめもなく長くなりました。
続きは次回。