ようやく2022の中受も一段落ですね。
1日前後のバタバタの間も書きたいことはどんどん増えていったのですが、想いがつのるとかえって書けないパターンで、ようやく落ち着いてブログに戻ってきた次第です。
以前、鶏口と牛後について記事を書きました。
要は、「牛後」に居続けるのは子供の心を病ませるよ、ブランド志向もほどほどに、という記事でした。
今回は、視点を変えて書きます。
これは、前回書いたような「子供の気持ちを無視してちょっとでも偏差値の高い学校を良しとし、ドベでもいいからそこに入ることを望む親」だけの話ではありません。「牛後」を望む生徒本人にも伝えたい内容です。
この仕事をしていると、
「少しでも上の学校に入って『良い刺激』を受けて『引っ張ってもら』いたい」
という親御さんの声をよく聞きます。
そういうことをおっしゃる親御さんは、同時に
「公立や偏差値の低い学校に行くと『そういう子』に流されて(=足を引っ張られて)しまうので」
とおっしゃいます。
これっておかしくないですか?
その集団において中央値より下の子が上の子の足を引っ張る、が事実だとしたら。
「ギリギリで滑り込んだあなたの子(あなた自身)」が今度は上の子の足を引っ張る存在になりますよ。
これって、就職のときに多くの就活生がする考えによく似ていますね。
「ギリギリでもまぐれでもいいから〇〇社に入れれば安泰」
という考え方。
そして、これは人事担当者にはお見通しですし、一番嫌われる姿勢です。
パレートの法則、というのがありますね。
2-6-2の法則。
ビリでもいいからなんとかその組織・学校に潜り込みたい、という発想はパレートの法則で言うと「最後の2」に滑り込もうとしている発想。
入った後は周りにおぶさる発想。
会社からしたら御免被るのは当たり前。
本音を言えば、私立中学もそうだと思います。
ただ、企業と違って学校は「パレートの法則でいう下位の2割」だとしても、授業料をもらえるのでウェルカムになる部分が相違点ですね。
あと、これは「『進学実績』の真実」「Y40の真実」と題して別途書こうと思っているのですが。
学校側が期待しているのは企業と同じく上位の2、です。
「進学実績」を稼ぎ出しているのもこの生徒たちです。
そして、彼ら「上位の2割」は「運悪くそれ以上の学校に落ちてここに来た」子たち。
たまに、私の過去の教え子のようにドベで入ってトップで出ていく子は確かにいます。
でも、その子たちは、入学時に「擦り切れて」ないです。
余裕を持ってその学校に入った子です。
小学校4年生、いやもっと低学年から進学塾漬けにしてお尻叩いてやっとその学校にギリギリ入った場合、中学で覚醒してごぼう抜きといったようなことは考えないほうがいいと思います。
「下」の学校に行ったら足を引っ張られる!と戦々恐々としながら、自分の子が「上」の子の足を引っ張る心配はせず引き上げてもらうことを期待するのはちょっとあさましい気がいたしております。
なぜ、鶏口となってその集団を引っ張る気にならないのか。
灘も渋幕も最初からすごかったわけではありません。
「鶏口」の先輩たちが頑張って引き上げてきた。
会社にしてもそうです。
今のランキングなんて、数年後にはどうなっているかわからない。
下町ロケットじゃないですが、ランキングや東証一部などといった指標では語れない「世界で唯一無二」のメーカーも日本にはたくさんある。
そういう会社は、「鶏口志向」の先輩たちがデカくしてきたんです。
なぜ自分がそういう存在になろうと思わないのか。
中受の過熱とともに「牛後志向」が強くなることで、ますます「引っ張る」人が減っていくのではないかという危惧を抱いています。