とある講師のホンネ

フリーの講師。国・数・英・理を指導中。東大卒。現在は家庭教師中心ですが、大人の文章教室なども開いています。

講師は親のここを見ている(1)~コロナでわかる人間性~

多くの親御さんは、無意識に家庭教師や個人コーチを「下」に見ていると思います。

「金を払っている」という意識がそうさせるのでしょう。

でも、そう思い込んでいると怖い落とし穴がありますよ、というお話です。

 

私は、コーチ業とお医者さんは似ているな、と思っています。

身体の不調や、学習の不調を個別に診断し、個々にベストの処方箋を出し快方に導く仕事だからです。

お医者さんに対して「あ~、ヤブだな」と判断するケースはあるでしょうけれども、医師の力量が確かなものだとわかる場合、「お願いします、治してください」となるのが普通ですよね。

家庭教師も同じだと思うんですよね。

ヤブ=へぼコーチなら、見切りをつけて当然でしょう。

でも、もし相手が名医すなわち名コーチだった場合。

そのスキルに対して対価を払うのは当然であり、金を払ったからといって上から目線になるのは勘違いも甚だしいです。

 

何度も書いていますが、「売れっ子講師」は仕事を選べる立場です。

私は基本的に「子供ファースト」なので、ご家庭がいわゆる「地雷物件」でも、できるだけ頑張ります。でも、限界を超える地雷案件の場合、こちらからお断りしています。

 

相手が名医=名コーチの場合、「金を払っているから言うこと聞くはず」とは思わないほうがよろしいかと。なぜなら、相手は仕事を選べるからです。お医者さんの場合は、医師法もあり、どんなモンスターペイシェントでも診る義務がありますが、我々個人コーチにはその義務はありません。

「講師側から断られる可能性」は十分あるのです。

 

さて、本題に移ります。

世の常といいますか、いわゆる「地雷」的な親御さんに限ってむしろ重箱の隅をつつく勢いで講師をチェックされることが多いですが、たぶん彼らは「自分たちもまた相手から見られている、審査されている」ことを知らないのだと思います。

 

ここは営業ブログではなく、とある講師が本音を書くブログですので、「講師は親のこんなところをチェックしている」ということを書いてみようと思います。

同業の方には頷いていただけるのではないでしょうか。。。

 

今回は「コロナ対応について」です。

 

昨年の新春頃から、生徒・講師・親御さんそれぞれに、それを無視できない状況になりましたね。この頃のご家庭の対応は両極端でした。

・お互いのためにオンラインにしようとご自分から提案してくださる御家庭

・対面を望んではいるが、こちらのオンライン提案を受け入れてくださるご家庭

・対面希望を譲らないご家庭

ぶっちゃけ、3番目、すなわち対面を譲らないご家庭は、こちらからお断りさせていただきました。

それは、あまりにも自分本位だと感じたからです。

 

親御さんは比較的お若いからタカをくくっておいでなのでしょうが、こちらは重症化リスクの高い年代です。

さらに我々は個人事業主ですから、感染→休業となった場合、何の保証もありません。

今月に入り、デルタ株の「運び屋」は無症状の10~20代が多いということが明らかになってきましたが、当時からその懸念はありました。

にもかかわらず「うちの子さえ感染しなければ講師の命はどうでもいい」という御家庭に、どうしてこれまで通り授業ができようか?というものではないでしょうか。

 

さらに、それよりも怖いのは「講師が生徒にうつしてしまう可能性」です。

口では「だいじょうぶです!」と言っているご家庭も、もし講師から感染したら手のひらを返されることでしょう。

 

どうしても対面を希望されるなら

・徹底した衛生管理

・生徒に兆候が見られたら正直に申告する

・対面を強行したために講師が感染した場合は、その後のギャラを保証する

くらいの御覚悟が必要だと思います。

 

対面に固執されるご家庭は「ウチの子は対面で見張らないとだめ」と主張されるケースが多かったですが、正直、それはそれ以前の問題、ご家庭でなんとかすべき問題です。生徒自身が自覚を持っていれば、対面でもオンラインでもまったく効果は変わりません。むしろ、対面だと「子供ならではの甘え」が出ますがオンラインは授業に集中できますので、オンラインのほうが学習効果は高いと感じています。

 

皮肉なもので、「オンライン、ダメ、ゼッタイ」なご家庭ほど、

・お家が不衛生

・子供がウレタンマスク

・子供が咳をしていても授業強行

など、ちょっと信じられない状況でした。

 

そういうところを、我々個人講師も「見て」いるということです。