受験ギャンブルに取り込まれて我が子を潰さないためにはどうしたらいいか。
一言で言うと客観性。
つまり「いま自分がわが子にやっていることを、自分が夫/妻/会社の上司からやられたらどう感じるか?」「いまの私を他人が見たらどう見えるか?」という視点が大事ということですね。
「他者の目」で自分を振り返ってみると、結構とんでもないことやってたなと気づけるかもしれません。
何度もこのブログで書いてますけど、
教育虐待はブラック企業にそっくりです。
比較(翻訳)してみましょう。
- ・×しか見ないで責める
- ・結果、それも偏差値しか見ない
- ・勉強以外の時間が全部無駄に見えてしまう
- ・「当社比」という考え方がない
- ・すべてを監視したがる
- ・自分はどうなの?
- ・家庭は安らぎの場所であるべき
・×しか見ないで責める
その子の素質なりに、「できること」は増えていくはずなんです。年齢が上がれば自然にキャパが増えますし、ましてや勉強しているんですから。
「できるようになったこと」を一切認めず「まだここがダメだ!」と責める親ってブラック企業の「部下のダメなところをあげつらって責め立てる上司」にそっくりですね。
ご自分がやられたら耐えられますか?
・結果、それも偏差値しか見ない
偏差値は、そう簡単には伸びません。なぜなら偏差値は「他人との比較」だからです。
バクノビした子たちの多くは「それまでやってなかった子」が勉強し始めたケース、あるいは集団塾についていけなかった子に個人コーチを付けたケース。すでに精一杯やってその結果なら、それが「現在の」上限と言えます。認めたくはないでしょうが、認めましょう。
結果、それも偏差値(順位)しか見ず、もっと上げろと発破をかける親ってブラック企業の「自分の会社のポテンシャルや社長の器も考えず、全部社員のせいにして売り上げ上げろと責め立てる上司・社長」にそっくりですね。
ご自分なら耐えられますか?
・勉強以外の時間が全部無駄に見えてしまう
人間は「勉強以外・仕事以外の時間」からも、実は多くのことを学んでいます。小学生なら「遊びが仕事」と言って差し支えないです。でも、ブラック企業体質の親御さんは、子供が一息ついているのを見るとイライラしますよね。エクセルで5分刻みのスケジュール作ってる親御さんに時々会いますが、内心「アホちゃうか」と感じます。
仕事のスケジュールや段取りを全部会社から細かく決められて、片時も休みなく働けと言われたらどう思いますか?24時間働けます♪か?ブラック企業そのものですね。
「スキマ時間はこう使いなさい!」とか子供に指示しているのも、アホちゃうか以外の感想出てこないですね。
「スキマ時間の活用」は、本人が「もっと伸びたい、なんとかならないか?」と勉強法を探ったうえで気づくこと。中高生は、自分でその境地に到達します(ただし、追い込みの時期限定。受験年でもないのにそこまでやる必要なし)
ご自分が、会社からいちいち「ほら!いま5分空いてたよね?〇〇をやりなさい!」って指示され通しだったら逃げ出したくなりませんかね?
・「当社比」という考え方がない
偏差値が変わらないということは「その子自身は伸びてる」証拠です。だって周りも伸びてるんですからね。一か月前の自分より「できること」が増えていたら、まずそれを認めて喜ばないと。
追いつけ追い越せばかりのブラック企業に勤めたいですか?
・すべてを監視したがる
子供って「親の目を盗んで」の時間に成長する部分が結構あるんですよね。
親の目を盗むには知恵を働かせる必要があるし。
親の目を盗んで遊んでる間の「罪悪感」も、成長を促します。
ネット中毒や犯罪系に走ることは厳禁だし、話はまったく別です。そここそ親が体張ってでも止めるべきだとは思います。
でも、「ああ、親の目を盗んであれこれやってるな、自分もそうだったな、成長の過程だな」くらいのおおらかな構えの方が、いろいろうまくいくと思います。
ブラック企業ほど、社員を監視したがりますよね。PCに監視ソフト入れたり。どうですか?そういう風に四六時中監視されるとかえってパフォーマンス落ちる気がしませんか?というより、その前に病みますよね。
ついでに言うと、家庭教師の授業をすべて監視したがる親もたまにいますね。勉強部屋に監視カメラつけたり、授業中ずっと「授業参観」したり。こういうご家庭は地雷なのでお断りしています。
別に、聞かれて困るようなことを話しているわけではありません。駆け出しならともかく、自信のある講師は親に見られようが見られまいがパフォーマンスは変わりません。
こちらに弱みがあるから監視が嫌なわけではなく、そもそも「監視したい親」は些細なことでとんでもないクレームつけてくる可能性を内在しているからです。
あと、授業を監視すると一番まずいのは、子供が委縮するからです。親が無理やり「授業参観」し始めたとたん手が震え始め、それまで解けていた問題が解けなくなる子もいますよ。行き過ぎた監視は逆効果です。
・自分はどうなの?
社長自身には新しいアイデアも試行錯誤の努力もなく、社員を怒鳴りつけるブラック企業の社員はおそらく「社長も大したことないくせに」と馬鹿にしていることでしょう。
「ご自分の価値観で言えば『大したことない』学校」しか出ていないのに教育虐待した親御さんの子供がもし「良い学校」に入れたとしたら。立場が逆転しちゃいますよね(苦笑)。「離職」の始まりです。子供から馬鹿にされて無視されるくらいならまだマシですけれども。
・家庭は安らぎの場所であるべき
今の子は、「外」で十分に他者と比較され、発破をかけられ、「もっとガンバレ」と言われ続けています。(追い込みの時期ならともかく)家まで「比較される場」になったら子供には逃げ場がないですよね。
お父さんだってお母さんだって、「外での闘い」から自分を解放して安らげる家があるからこそ、また「外」で頑張れるんじゃないですか?
ブラック企業ですら、家まで追いかけてきて仕事を強要はしませんよね。
逃げ場がなくなることの一番怖いところは、無気力になることです。
残酷な実験ですが、犬でそういう実験があります。一定の場所から出ようとすると電流を流す。それを続けていると、電流装置を犬が壊せるようになっても、もう動こうとしなくなるんだそうです。