とある講師のホンネ

フリーの講師。国・数・英・理を指導中。東大卒。現在は家庭教師中心ですが、大人の文章教室なども開いています。

子供が辞書を好きになるゲーム

今日は、先日思いついた「辞書を好きになるゲーム」をご紹介します。

タイトルは「子供が」となっていますが、中高生も大いに活用できるゲームです!

 

 

前置き)なぜゲーム形式が良いか

 

 子供が勉強嫌いになる理由の一つは「勉強=問題を解くこと」になってしまうからです。たしかに、幼いころから知的好奇心にあふれ、どんどんドリルをやるのが好きな子もいます。本来、勉強というのはそういうものです。面白いからやる、それだけ。

 

テストが好きな子って「できるから好き」なんです。

 

自分にはまだできないことを「テスト」されたら大人でも嫌になりませんか?


低学年時は、詰め込むよりも「勉強って楽しい!」という感覚を育てるほうが後々絶対にプラスです。低学年時の先取りは、しょせん「貯金」でしかありません。貯金はいつか尽きます。この時期に好奇心が育つと「自分で貯金を貯める」ようになります。大違いですよね。急がば回れ

 

「義務になるととたんにやりたくなくなる」のは、大人も子供も同じ。

これは生物学的に当たり前のことです。

生物として生きるために絶対必要なことは「いやだからやらない」はないですよね?

食べること、寝ること、排せつ。

これらは好き嫌い言ってる場合じゃないですよね、どんな子でも本能的にすること。

労働や勉強は、生物として生きるために必要なことではない。でも、人間として社会で生きていくためには必要。だから「義務」の範疇になる。年をとるとともに「好む好まざるにかかわらず、社会で生きていくには必要なことがある」と理解できます。

でも、幼児~小学校低学年にはまだまだ無理。

その年齢で勉強を「義務」にしてしまうから嫌いになるんじゃないでしょうか。

非常にもったいないですね。

その年齢では、まず「何かを知るって面白い!」という好奇心を育てるべきなのに、塾だテストだ、となるとわざわざ子供を勉強嫌いにさせているようなものです。

 

不思議なもので、「ドリル」となると逃げ回る子供でも「クイズ番組」「パズル」が嫌いな子はそういません。

やはり小学低学年のうちは、ザリガニ取ったりダンゴムシ集めたりといった野外活動に加え、もし勉強的なものをするならゲーム感覚で楽しめるものがおすすめ。

算数パズルとしては、これまで多くの小学生が夢中になって解いていたのはこの2つ。

 

 

 

今日は、さらにお手軽に、かつ「子供が辞書を好きになるゲーム」のアイデアを3つご紹介します。思い付きで試してみたら、どの子もはまるはまる。語彙が少なく、辞書なんて大嫌いな子供ほど、人が変わったように辞書を引き始める効果に私が一番驚きました。特許とりたいくらい(笑)

 

それは、「子供に問題を作らせる」ゲームです。問題を作ることの効果についてはこちらの過去記事をどうぞ。

mikoto2020.hatenablog.com

 

1)辞書ゲーム

用意するもの:「紙の」辞書

それだけ(笑)。
語彙を増やしたい場合は国語辞典、英単語力を高めたい場合は英和辞典か英英辞典(英英辞典は、中高生向きです)。漢字の成り立ちに興味を持たせたければ漢和辞典。ことわざや慣用句を増やしたければ、ことわざ辞典。などなど。

 

ゲームのルールは

・お互いに問題を出し合う

・出題者は「ある言葉の意味」を読み上げる。回答者は、わかったら単語を答える。

 

たとえば

出題者「梅が実る六月から七月中旬にわたって日本や長江沿岸に生ずる雨期」

解答者「梅雨!」

みたいな感じ。

 

自分がテストされるのは嫌う子供も、「大人に問題を出す」のは大好きみたいです。かわいいですね(^^

みんな、面白がっていつまでもやりたがります。もしかしたら「辞書という解答が手元にある」ことでストレスフリーなのかもしれませんね。

 

最初のうちは「絶対わからないような単語」を出す子もいるかもしれません。でも、そこで叱らないでくださいね。「ヒントプリーズ!」とやっているうちに、子供の方も「自分でもわかる言葉」や「同義語が少なく、答えやすい言葉」を自然と選ぶようになります。この時点で、かなり言葉のセンスは培われていきます。

 

紙の辞書のほうが良いのは、相手がどの辺を開いているかで頭文字の推測ができるからです。子供が辞書を嫌いなのは、引き方がわからないせいもあります。このゲームをやっているうちに、自然に「50音順」や「アルファベット順」がわかってきます。

 

紙の辞書の良さは、もう一つあります。子供が「何を出そうかな?」とめくっているうちに、知らず知らずいろんな言葉が目に入る点です。

 

親御さんが出してあげる番になったら、難易度はうまく調整してあげてください。語彙が少ない子には、まず「わかりそうな問題」にしてあげて、このゲームを面白いと感じさせるのが肝要です。くれぐれも「テスト」にしないでくださいね。

たいてい、子供は自分が何度も出題者になりたがるので、やりたいだけやらせてあげましょう。問題を出す方が、出されるより数倍語彙の習得にはプラスになります。

 

ちなみに、以前私塾をやっていたときは「早押しピンポン」を導入していました。もう、小中学生が夢中になるのならないのって!辞書を奪い合うようにして出し合っていましたよ(^^

こんなタイプ。

夢中になること請け合いです!

 誰がいちはやく押したかはわかりませんが、もう少しお手頃なのはこちら。

 

 

 

2)和同開珎・漢字クイズ

これは、灘中のパクリオマージュです(笑

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こんな感じ。作るの楽しいですよ!

漢字の練習帳には、同じような工夫はもちろんあります。同じ漢字を使う熟語をいくつも書かせるタイプ。でも、やっぱり「テストっぽい」せいか、漢字が苦手な子はやりたがらないということになってしまう。ちょっとそれだと本末転倒ですよね。

 

でも、こういうパズルなら、多くの子供が楽しんでやります。

そしてこれも、出されるより自分が作る方が楽しいです。枠だけ作ってコピーしてあげて、子供に問題作ってもらいましょう!

最初は、自分の知っている言葉で作ろうとすることでしょう。

 

そのうち、ネタ切れ(笑)になってきます。

そのときこそ、漢和辞典の出番です!

 

答えの漢字を一つ決めたら、あとは嫌というほど熟語が載っていますから、それを描いていけばよいわけですね。意外とこの形になると出題される大人側もてこずったりして、それも子供にとっては嬉しいようです。

このゲームの良いところは、一つの漢字を出題しようとすると、自然と熟語を4つ覚えることになるところです。

 

3)このゲームをやるときの秘訣

 

「すわ!これでウチの子も漢字力アップ!」と前のめりになるのは禁物です(笑)。

勉強に苦手意識を持っている子は、親御さんの「なんとかして勉強に結び付けよう」というオーラに敏感です。勉強に対しては鈍感なのに、なぜあのオーラにだけは敏感なのか(笑)。

親御さんの前のめりなギラギラしたオーラを感じると、そういう子は内心では興味があっても「別に」「つまんない」という反抗をしがちです。

ですので、秘訣は

大人自身が心底楽しむこと。

ご夫婦で出し合っても良いでしょう。

大人が楽しそうにやっていると、子供は自然と混ざりたくなるものです。

くれぐれも、「テストやドリルの代わり」にしませんように。

 

4)中高生向け

 これは大人がやっても面白いですよ!

 英単語のクロスワードも面白いです!