とある講師のホンネ

フリーの講師。国・数・英・理を指導中。東大卒。現在は家庭教師中心ですが、大人の文章教室なども開いています。

国語(または英語)が苦手な生徒は「問題集」を解いては絶対にダメ!

国語が苦手な子、あるいは英語が苦手な子。

理数系以上に困り感を抱えていると思います。

塾でも個別でも「国語は時間がかかりますからねえ」と言われ、いろいろなテキストや問題集を指示され、やってみるけど効果が上がっているように思えない。

あるあるですね(^^;

 

「時間がかかる科目」だと言われたから仕方ないのかな、と思っているそこのあなた!

やり方(取り組ませ方)が間違っているだけです。

 

1)国語/英語が苦手なそもそもの理由

そもそも、なぜ国語/英語が苦手なんでしょうか?

国語と英語では、やや原因が違うので本来なら記事をわけたほうがいいんでしょうが、「問題集をやってはダメ」という点が一緒なのでとりあえず同じ記事で書きます。

 

共通する原因

・語彙(英単語)が大きく欠落している

・長い文章を読むのが嫌い

 

ほぼ、これに尽きますね。

 

たまに「本が好きでたくさん読んでいるのに国語のテストの点数が低い」子がいますが、これはぶっちゃけ「人の話を聞く気がなく、俺様サイコー!」だからです。これについては、いずれ別記事に書きます。

 

英単語はともかく、日本語でなぜ基本的な語彙(たとえば「鼻が高い」とか、中受しなくても知ってますよね普通)を知らないのか。これについては過去記事に書きました。

 

mikoto2020.hatenablog.com

 

総じて言うと、国語が苦手な子は

・知らない言葉に出会ってもスルーする

・長い文章を読みたくない

子がほとんどですね。

 

2)なぜ「問題集」をやってはいけないか

 

1)に書いた通り、国語や英語が苦手な子というのは「長文を読みたくない」わけです。だから、恐ろしいことに本文をろくすっぽ読まず、傍線のとこだけ読みます。本文中に知らない言葉が出てきても気になりません。進学塾や各種参考書の教え方もそれに拍車をかけている気がしますね。

 

私は、科目がなんであっても、生徒が間違えたときに「どこが違うか」を(できるだけ)本人に説明させるようにしています。

そうすると、国語では10人中8~9人が「自分は『ア』と答えたけど、正解は『ウ』だった」とかいいます。

これ、一ミリも!まったく!勉強になってません(苦笑

自分の回答がなぜバツなのか気になる子なら正答と「比べる」ことをするはずなんですが、国語/英語が苦手な子というのはこのレベルで文章を読むことが嫌いなんですよ。

 

こういう子に「問題集」をやらせても、(私のようにしつこく尋ねる講師がいない限り)まったく意味がありません。

 

なぜなら、彼らは

・本文は面倒くさいのでテキトーに読む

・選択問題はテキトーに選んで、間違ってたら記号を書き直すだけ

・記述問題は「むずかしかった」と言って白紙にする

だけだからです。

それでも一応「国語の勉強を〇〇分した」ことにはなるので、要はアリバイ作ってるわけです。

 

「問題集」を与えても、多くの子が一番大事な「本文」を読んでいません(汗

こういう子に本文を音読させると、読めない漢字のオンパレード。

うん、キミさあ。

それを「黙読」してるときに気にならなかったの?

 

「問題集」を与えると、苦手な子ほど「設問を解く」ことにだけ意識が行きます。

結果、本文をきちんと読みません。

そんなことをしていても、勉強したという「アリバイ作り」になるだけ。

そして「国語/英語、頑張ってるけど難しい」という言い訳になるだけ。

 

3)「問題集」をやるかわりに何をすればいいのか

ズバリ、「精読」です。

「設問」などついていない、ただのまっさらな文章を読みましょう。

 

・まず音読→読めない単語、初めて見る単語にマーク

・大事そうなところに線を引く

・要約する

・内容について他人とディスカッションする

・自分で「問題」を作る

これがベストです。

 

なお、現時点で国語や英語が苦手な子が「速読」に手を出すのは大間違いです。

「段落のこの辺を読めばいい」「『しかし』のあとだけ読めばいい」とかいうテクニックは、「文章がちゃんと読めて」「論理というものがわかっていて」はじめて生きるテクニックです。現時点で国語や英語が苦手な子は「論理」がないわけで、そんな状態で「飛ばし読み」してどうなるんですか。

 

いいですか、速読ができるということは、

・論理展開がわかっていて、「予測読み」ができる

ことが大前提です。

本を読むのが速い人の多くが、実は決して飛ばし読みはしていません(文章が回りくどく、同じことを繰り返している場合は除く)。読むのが速い人は「予測しながら読める」「一回で理解している」から速いだけです。

ぶっちゃけ、「一回読んでわからない」レベルで「飛ばし読み」ってふざけてんのかなと思います。飛ばし読みというのは、ちょっと読んで著者の主張が予測できて、どの辺を読めばいいかわかるからこそできる技です。

 

現時点で国語や英語が苦手な人は、「設問」を解かず「精読」しましょう。

題材としては、教科書がいいんじゃないかな。

参考書や問題集だと「余計な傍線」が引かれていて、どうしてもそっちに気を取られますからね。

 

中学受験国語の場合は

・難関校狙いなら、ズバリ高校の現代文教科書(もはや、多くの入試で高校/大学の教科書から、あるいは同程度の新書などから出題されています)

・中堅校狙いなら、中学の教科書

・教科書が手に入りにくければ、模試などで出題された文章の載っている本を買って読むと良いです

 

大学受験現代文の場合は

・ちくま現代文(余計な傍線が引かれていないので、本文を読むのに集中できる)

・模試などで興味をもった著者の著作を買って読む

 

大学受験英語の場合は

・各種教科書の文章

・CNN/BBCなどのニュース文章

・英検の本文(設問は解かなくてよし)

を題材にするとよいでしょう。

 

国語にしろ英語にしろ

「一回読んでしっかりわかる」力がついてこそ、です。

まあ選択肢問題は、また別のスキルが必要になりますが

本文をきっちり理解もできていないのに設問を解こうとするのは大間違い

です。

 

たぶん、こういうことを書くと「そんな悠長なやり方じゃ間に合わない!」と言われそうですが、現時点で長い文章を読むのが嫌いだったり知らない単語が多かったりする場合、選択肢問題をいくらやらせても「たまたま当たった」になるだけですし、記述は「テキトーなパッチワーク」になるだけです。パッチワーク記述は、多くの入試では通用しません。

まずは、「本文」を理解する力を身に着けましょう。