とある講師のホンネ

フリーの講師。国・数・英・理を指導中。東大卒。現在は家庭教師中心ですが、大人の文章教室なども開いています。

「勉強法ジプシー」になってはいけない

 

1)「勉強法ジプシー」とは

私がさっき思いついた造語です(笑)。

簡単に言うと

「どこかにまだ見ぬ素敵な『勉強法』があって、自分は(わが子は)それを見つけていないから伸びないのだ!」と考え、ひたすら「勉強法の研究」に夢中になる状態

のことです。

 

2)なぜ「勉強法ジプシー」になってはいけないか

 

「勉強法」をあれこれ考えている間って楽しいんですよね。

だって

その間は勉強しなくていい

・正しい勉強法さえ見つければ成績が上がるはず!という夢が見られる

・自分の(わが子の)成績が悪いのは勉強法のせいだ、と逃避できる

のですから。

 

ダイエットで考えるとわかりやすいですね。

運動を一ミリもしないのに。

食事を改善もしないのに。

ただひたすら「痩せる方法」を探し続けたり、次から次にサプリを試したり。

これが「ジプシー状態」です。

結果は火を見るよりも明らかですね。

成績は伸びないし、体重は減らない。

 

ダイエットと同様に、「絶対ダメ!な勉強法」は存在します。

難易度高すぎる問題ばかり取り組むとか(その逆も)。

漢字や英単語を覚えるのにただひたすら何回も書く、とか。

エトセトラ。

 

また、自分に合うスタイルが見つかると気分も安定するし伸びやすくなるのも事実。

 

でも、だからと言って「肝心の勉強をせずに」勉強法ばかり探し続けるのは本末転倒。

 

自分に合った勉強スタイルというのは、ある日突然魔法のように現れるわけではなく、「勉強しながら」カスタマイズしていくことで見つかるものなのです。

そして、勉強法を変えたからと言ってもすぐ効果が出るわけではありません。

講師や友人が教えてくれたTipsは素直に試してみると良いと思いますが、その際はせめて1~2週間は続けてみてください。

時々いるんです、毎回「コツを教えてください」という生徒。

え、先週教えたよね(苦笑)。

ジプシー状態の子や親というのは、言われたことを試してみることもなく、次から次に「コツ」を聞きたがります。ダイエットで次から次にサプリを買うのと一緒ですね。

コツばかり聞きたがる子というのは伸びません。

なぜなら、自分の勉強量が圧倒的に足りていないことから目を背けているから。

mikoto2020.hatenablog.com

 

 

勉強スタイルを模索すること自体は、もちろん良いことですが

「ジプシー」となって本末転倒にならないためには。

「素敵な勉強法が見つかりさえすれば成績がバクノビする」という幻想を抱かない。

これが大事。

 

ダイエットや健康法と一緒です。

奇天烈な「○○さえやれば」なんていうのは全部ウソ。

結局、地道に腹八分を守って適度に運動するのが一番。

どこかに「ハクバノ王子サマ」=「まだ見ぬ理想の勉強法」などありません。

 

もちろん、「効率の悪い勉強スタイル」はあります。

ですから、もし私の生徒が効率の悪い勉強スタイル(基礎をおろそかにして今は無理な難題にばかり取り組んだり、英単語を語源も考えずに丸暗記しようとしていたり)をしていたら、改めるようにアドバイスはします。

でも、実は「伸び悩んでいる子」のほとんどが、圧倒的に勉強量が足りない「だけ」なのです。

(中学受験に関しては、親が「質より量」になってしまって超非効率かつ子供の学習意欲を削ぐ勉強法をさせているケースが多々ありますから、その際は私も介入しますが。さらに言うと、中学受験の場合は、子供の成績が「伸びない」という評価自体が間違っているケースの方が多い。子供が精いっぱいやってそこなのに、親がそれ以上を望んでいるから「足りない」という評価になっているだけ)

中高生、つまり親の手を離れて自分で勉強するようになった子の場合、勉強法うんぬんよりも、圧倒的に勉強量の問題です。

 

3)それでも「バクノビ」したいなら

マンツーマン講師をつける。

これ一択だと思います(営業ではありません(笑))。

なぜなら、マンツーマン講師であれば

「今の勉強の仕方のどこが悪いのか」が指摘できるからです。

また、生徒に合った勉強法を(ある程度は)推測し提示できるからです。

スポーツでもダイエットでも、個人トレーナーをつけるとてきめんですよね。

それと一緒です。

 

ただ、ここにも落とし穴があります。

個人コーチを「つけさえすれば」成績が上がるわけではありません。

ライザップでトレーナーについてもらっても、トレーナーがいないときに暴飲暴食したら痩せるわけがないのと同じです。

言われたこと(課題)は守りましょう。