ミスというものについて、心構えや日常生活の改善余地についてはこちら。
今回は、主に算数/数学のミスを防ぐTipsを書こうと思います。一つでもご参考になればよいのですが。
1)問題を音読する
多くの小学生は問題を最後まで読まずに解き始めている。
こう言ったら驚かれる親御さんも多いのではないでしょうか。でも、これは事実です。子供ならではの性急さがそうさせるのか、塾でスピード重視にされすぎているのか。
こちらの記事でも書きましたが、子供は「飛ばし読み」をします。それを防ぐには音読が非常に効果的です。というか、それしかない(笑)。音読で飛ばし読みはできませんから。問題の誤読でミスした生徒に音読させると自分で気づくケースが多いですよ。
2)問題に必ず線を引きながら読む
ポイントを目立たせる、以外の重要な目的があります。
それは(1)とも関係しますが「遅く読む」ためなのです。慌てて急いで読むからポイントを見落としてしまう。
「音読」「線引き」で、物理的に速く読めなくする。
個人差はありますが、やはり文章を読むのに適切なスピードってありますからね。速ければ速いほど良いというものでもありません。
3)解く前に必ず概算する
この記事でも書きましたが、「計算を始める前に答えを予測するクセ」をつけられると良いです。「円周率およそ3」論争は記憶に新しいですが、あれは文科省なりに「3.14の正しい計算にこだわるあまり、全体を見れなくなっている子供が増えた」ことへの危惧だったんじゃないですかね。円関係は、3.14というめんどくさい計算があるためか、「トンデモナイ答え」が出がちなジャンルです。「だいたい」を予測してから計算するクセをつけましょう。
予測することで防げるミスは、ほかにもいろいろあります。
・食塩水の濃さ
2つを混ぜたら、その間の濃さじゃないとおかしい。また、溶解度からいって30パーセント以上の食塩水はありえない。
・速さ
計算上はどんな速さだってあり得ますが、中受では非常識な速さが答えになることはないと考えて良いでしょう。徒歩:毎分60~120メートルor時速3~5キロ程度、車:時速30~80キロ程度、電車:時速40~120キロ程度。小学生は長さの感覚がない子もいますが、例えば最寄り駅や学校までの距離を知っておくことで「これはおかしいぞ」と気づけるかもしれません。日常が大切ということです。
・容積
お風呂はだいたい160~200リットル。ペットボトルも感覚つかむのに良いですね。
・時計算
図を描かずにいきなり計算始める小学生がものすごく多いですが、まずはイメージを描きましょう。「4時と5時の間で長針と短針が重なるのは4時40分」とかいうトンでも解答を防げます。
ここまで書いていて気づいたんですが、概算ができる子って「日常生活もおろそかにしていない」んだな。さらに言うと、家事の手伝いしてる子も多いです。家事は数学と科学の宝庫ですからね。これらを一切させずに机の上の勉強だけさせるのは逆効果なんじゃないかなあ。
4)正しい検算の仕方
「検算したのにミスを見つけられない」場合は、検算の仕方を間違えています。
「最初に解いたときと同じ計算の仕方」で確かめてもミスは見つかりません。なぜなら、その試験の間、なんか変なスイッチが入って間違えた計算のクセが発現してしまってるからです。小学生は九九の7の段を苦手ですが、うっかり「4×7=24」の回路になったまま何度検算しようがミスは見つかりませんよね。
では、どうするか。
・単純な計算問題は、概算してみる
・答えの偶奇の確認
・穴埋め問題なら「代入」して確かめる
・文章題も「出た答えを当てはめて本当にそうなるか確認」
つまり「解いた時と別の観点から確かめる」ということです。
正直、文章題で出た答えを代入して確かめたくならないのは、不思議でなりません。ものの数十秒で確かめられるのに。「答えを出しっぱなし」で気持ち悪くないのかなあ。
5)おまけ:親や講師がわざと間違えてみせるのは効果的
私は、ときどきわざと計算ミスしてみせることがあります。素で間違えることもあるけど(笑)。そんなとき「え~、私どこ間違えたかな、〇〇ちゃん、一緒に探してくれない?」と生徒に頼みます。生徒たち、嬉々として探してくれますよ。
自分のミスは見つけにくいですが、人のミスは見つけられる。そして、人は他人のミスから学ぶことができる。
6)さらにおまけ:ミスも実力のうち
これだけあれこれやっても、どうしてもミスが減らない場合。
その場合は、開き直りましょう。
ミスも実力のうち、とはよく言ったもので、まさに真実です。
特に小学生のうちは「これ以上は減らせない」限界があります。中高生と違ってまだ客観性が育ち切っていませんし、入試問題もミスに気づきにくい小問が多いからです。これが高校受験や大学受験となると、大問が増えて一問にかかる時間が長くなります。大問を解いている間に「あっ、(1)間違えてた」と気づく仕掛けになっています。
「うちの子の実力は本当は〇〇点のはずなのに」とキリキリするより、ミスも実力の一部と考えたほうが、長い目で見ると子供を伸ばすことになるかもしれません。